30年周期の法則:EASY映画雑記

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30年周期の法則なるハリウッドのキャスティングに関する発見に至ることとなったので、メモ書きとして残しておく。

銀幕スターをカテゴライズすると

①演技派②個性派③オールラウンダー型④スター型⑤ヒーロー型

となり、この5つの種別は概ね約30年周期で各々にその代表的な銀幕スターが誕生してきた。それは映画史黎明期から現代までの

1901年前後~1930年前後生まれ

1931年前後~1960年前後生まれ

1961年前後~1990年前後生まれ

の3段階に分けられる。

①演技派

マーロン・ブランド 1924生 【ゴッドファーザー(1972)】

❷ロバート・デ・ニーロ 1943生 【ゴッドファーザーPARTⅡ(1974)】

❸ショーン・ペン 1960生 【カリートの道(1993)】

❶ヴィヴィアン・リー 1913生 【欲望という名の電車(1951)】

❷メリル・ストリープ 1949生 【プラダを着た悪魔(2006)】

❸ケイト・ブランシェット 1969生 【オーシャンズ8(2018)】

②個性派

❶オーソン・ウェルズ 1915生 【第三の男(1949)】

❷アル・パチーノ 1940生 【ゴッドファーザー(1972)】

❸ジョニー・デップ 1963生 【パブリックエネミーズ(2009)】

❶リタ・モレノ 1931生 【ウェストサイド物語(1961)】

❷ウーピー・ゴールドバーグ 1955生 【天使にラブソングを(1992)】

❸アン・ハサウェイ 1982生 【プラダを着た悪魔(2006)】

③オールラウンダー型

❶ポール・ニューマン 1925生 【タワーリングインフェルノ(1974)】

❷モーガン・フリーマン 1937生 【ディープインパクト(1998)】

❸ブラッド・ピット 1963生 【オーシャンズ11(2001)】

❶イングリッド・バーグマン 1915生 【オリエント急行殺人事件(1974)】

❷ヘレン・ミレン 1945生 【ワイルドスピード アイスブレイク(2017)】

❸シャリーズ・セロン 1975生 【ワイルドスピード アイスブレイク(2017)】

④スター型

❶グレゴリー・ペック 1916生 【ローマの休日(1953)】

❷ハリソン・フォード 1942生 【エクスペンダブルズ3(2014)】

❸トム・クルーズ 1962生 【トップガン マーヴェリック(2022)】

❶オードリー・ヘップバーン 1929生 【ローマの休日(1953)】

❷アンナ・カリーナ 1940生 【女は女である(1961)】

❸ナタリー・ポートマン 1981生 【レオン(1994)】

⑤ヒーロー型

❶スティーブ・マックイーン 1930生 【タワーリングインフェルノ(1974)】

❷シルヴェスター・スタローン 1946生 【エクスペンダブルズ(2010)】

❸キアヌ・リーヴス 1964生 【ジョンウィック(2014)】

❶パム・グリア 1949生 【コフィ―(1973)】

❷キャリー・アンモス 1967生 【マトリックス(1999)】

❸ジェシカ・ヘンウィック 1992生 【マトリックス レザレクションズ(2021)】

代表として各々に1名づつだけ選出。代表作にはオールスター映画に出演している場合はそれを記載。

例外としてヒーロー型の女性については、タランティーノが評するとおり、該当する初の女性はパム・グリアが相応しい。順当なシガニー・ウィーバーやリンダ・ハミルトンは、あえてノークレジット的扱いとした。本来は第二世代枠であるパム・グリアが第一世代であることから、第三世代はZ世代に近いジェシカ・ヘンウィックを選出した。第二世代はキャリー・アンモスで、これはジェシカ・ヘンウィックの選出理由と同じく『マトリックス(1999)』が偉大すぎるからだ。

さらに遡るとまだ5類型が確立されていない時代の別格、伝説級の銀幕スターが現れる。

七人のレジェンド

●キャサリン・ヘップバーン 1907生 スター型(演技派の原形)【フィラデルフィア物語(1940)】

●ジェームズ・スチュワート 1908生 スター型(オールラウンダー型の原形)【フィラデルフィア物語(1940)】

●ケーリー・グラント 1904生 スター型の源流【フィラデルフィア物語(1940)】

●スペンサー・トレイシー 1900生 スター型(演技派の原形)【ニュールンベルグ裁判(1961)】

●ベティ・デイヴィス 1908生 スター型(個性派の原形)【何がジェーンに起こったか?(1962)】

●ジョン・ウェイン 1907生 スター型(ヒーロー型の原形)【史上最大の作戦(1962)】

●ヘンリー・フォンダ 1905生 スター型(ヒーロー型の原形)【史上最大の作戦(1962)】

ビッグ3

●クラーク・ゲーブル 1901生 スター型の源流【或る夜の出来事(1934)】

●ゲイリー・クーパー 1901生 スター型(オールラウンダー型の原形)【オペラハット(1936)】

●ハンフリー・ボガート 1899生 スター型(個性派の原形)【カサブランカ(1942)】

キング・オブ・キングス

●チャールズ・チャップリン 1889生 【キッド(1921)】

チャップリンは映画監督としても、キューブリックが影響を受けた先輩であり、キューブリックに影響を受けた後輩はかのスピルバーグである。つまりチャップリンはGODあるいはパーフェクトヒューマンと呼べるだろう。

アドルフ・ヒトラーと同じ年月に生まれ、独裁者と喜劇王という正反対の存在であったチャップリン。チャップリンからまるでバベルの塔のように、映画という第七芸術が世界中に散り散りに拡大していったのでないかとすら思える。

近年はもはや前述の5類型にカテゴライズした概念などは不要になり、もしくは一人の役者にその全てを求められるような時代に突入していっているのかもしれない。さらにはエジソンが開発したキネトスコープはサブスクの源流であるという考え方もある。

そう考えるとチャップリンが生きた時代に戻っているわけではないけれど、様々な可能性を拡大しつつバージョンアップしながら回帰しているのかもしれない。

そして映画ファンなら観ておくべき作品が、くしくもドラマである『ジ・オファー/ゴッドファーザーに賭けた男(2022)』だ。

コロナ禍の影響か『バビロン(2021)』『フェイブルマンズ(2022)』『エンパイアオブライト(2022)』等の映画を称賛する映画が公開されてきた。そしてこの映画賛歌のムーブメントは映画を称賛するドラマにまで波及していた。それがゴッドファーザー制作の裏側を描く『ジ・オファー/ゴッドファーザーに賭けた男(2022)』だ。

本作には、マーロン・ブランド、アル・パチーノを演じる役者が登場するのはもちろん、ロバート・レッドフォード役なども登場。さらにはジャック・ニコルソン、ロバート・デ・ニーロなどの珠玉の銀幕スターの名前がキーワードとして出てくる。

本記事が伝えたかった❶1901年前後~1930年前後生まれ❷1931年前後~1960年前後生まれの微妙な線引きも、このドラマで理解していただけるだろう。

例えばレッドフォードはパチーノより先輩であるが、兄ほどの年齢差であるニューマンやブランドとは演じる役に一世代の差が存在しうる。それは30年周期の法則において、1936年生まれのレッドフォードが第二世代に属するからである。

2024/9/25

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