AZAZEL STOLE FIRE FROM THE GOD AND GAVE IT TO MAN.
FOR THIS HE WAS CHAINED TO A ROCK AND TORTURED FOR ETERNITY.*¹
episode of stadium
Ⅰ. coda
田最環を倒した東方定助は支倉高校に一人で見学に行く。
とはいっても、部活動の時間帯に校庭で黄昏るだけだ。
中学の卒業履歴等がないと編入は難しいとの結論だった。
すると一人の女学生が声をかけてくる。
野球部のマネージャーをしているという彼女は、定助に入部の勧めをするべくいくつかの質問をしてくる。
定助が生徒ではないとわかると、本日、金曜夜は杜王スタジアムでstadiumsのライブがあるとのことで、友人と待ち合わせの時間だと言って去っていった。
そして定助もソレについては承知済みだった。
決行はヒトキュウマルマル、つまり19時00分きっかり、五人組ロックバンドstadiums*²のライブが開演する時間だ。
少数精鋭、ライブの喧騒に紛れて実際に侵入するのは定助一人。
広瀬康穂はあえて合流はせずに、自宅から【paisley park】の能力を使ってスマホで定助にスタジアムの地下へと続く経路を教示する。
ロカカカ栽培の現場を押さえるのだ。
Ⅱ. code
野球部のマネージャー、彼女の名は敷並レイコ、18歳。
本日のライブのためか、オシャレをして首と胸元の間に蝶々のタトゥーシールが貼ってある。
血液型A型、身長169cm。
趣味:ヨガ、旅行。
フェイバリットアーティスト:バンプ・オブ・チキン。
感動した映画:ヒート。
彼女はスタンド使いであり、ヴィジョンは何もないところから具現化したサングラス(styleはあくまで万物タイプではなく、空気中の原子と合体することで一般人にも可視化した融合タイプ)である【solid state scouter】*³を操る。
能力は、まず分類としては基本情報近接融合型である。
これはKARS式CODE分類法*⁴に基づいたものであり、近づいてくる敵スタンド使い等の対象に向けて、まさにこのCODEをサングラス越しに把握することができるという能力である。
例えばこのスタンドであれば、基本情報近接融合型であることから【AEDB:a=98%】などと表示される。
98%とは現時点の精密動作率の値であり、これはある程度は上下する。
そのパーセンテージが本人の発しているエネルギーの目安そのものであることから、それを感知して対象の概ねの現在地(本体及びスタンド)を、レーダーに反応する戦闘機のような仕様で察知することも可能となる。
以上が情報を得るという主たるability2点の能力である。
いずれも精神集中することで発動する能力であるが、その副産物としてごく短い時間、瞑想をすることで自身の心身状態を向上させるヒーラー的能力も保有している。
これは他者にも使用可能で、相手の額から目元にかけてを、敷並の片方の手のひらで数秒覆うことで、5分程度瞑想した効果を付与できる(つまり例えば、全速力で走った直後でも5分程度休憩した体力に戻せる)。
Ⅲ. basement4
いよいよ地下に向かおうとした時、縁あって敷並が自身の能力で定助がスタンド使いであることを把握した結果、たまたま同行することとなってしまう。
どうやら彼女は定助のことが気になる様子だ。
スタンド使いは引かれ合う。
このパワーワードにより、定助は今の状況に対する理解について、迅速に処理するしかない運びとなった。
二人はエレベーター前まで何とかたどり着き、【paisley park】の能力でセキュリティカードが必要なエレベーターに、防犯カメラ映像も偽装して乗ることができた。
唯一選択できたのはB4のみ。
地下4階に着くとそこには、地上のスタジアム敷地と同じ大きさの、広大なロカカカ園が一面に広がっていた。
定助は写真撮影した後に、さらにロカカカを2つだけもぎ取り、足早にその場から撤退した。
しかしエレベーターは機能せずに扉が開かない。
仕方なく脇に設置されていた階段を上がることとなるが、この時点で定助も敷並も悪い予感がよぎっていた。
定助:踊り場まで上りきった…あと数段上るだけだ。
敷並:この先にスタンド使いが一人いる…まずい、暴走特殊独立融合型!間合いを取る準備をして!
慎重に地下3階に着くと、そこは地下4階と同じ広さの何も置かれていない広大なフロアとなっていた。
その広さとは不釣り合いに、男二人のみが間隔を空けて向き合うように立っていた。
Ⅳ. encounter
泥駒:
ロカカカの存在を嗅ぎつけて、スパイとか、あるいはギャングみたいな連中がやってくる。
しかもその大抵がスタンド使いだ。
これは余興であり、我々一族の王や、その直属の貴族たちがスタジアムからは離れた場所でリアルタイムで観ている。
説明しよう。
B3の私のスタンド能力に勝てば、B2に上れて、B2のスタンド使いに勝てば、B1に上れる。
B1のラスボスに勝てば晴れて地上に出れる、そういうゲーム*⁵だ。
ただし君たちは負ければ死、あるいは優秀なスタンド能力であれば再利用させてもらうことになる。
突如のルール説明であったが、定助は直感的に今話し終えた男が岩人間であることを察した。
そして定助は、もう一人の沈黙していた男に目を向けると見覚えがあることに気づく。
ここ数週間、杜王スタジアム周辺を徘徊していたホームレスだ。
片桐と名乗る男:
そこの二人、心配するな。
俺はロカカカ栽培について視察していた警視庁公安の片桐だ。
それにしても、泥駒だったか?各階でバトルなんて、まるでマンガみたいな余興だな。
我々のリアリティあるこの現実世界にはとても不相応だ。
泥駒:だったら、必ずしも一対一ではないというルール、これは新鮮だろう。
片桐:俺たち三人であんた一人と戦って良い、という理解でいいのかい?
泥駒:私は私の能力で戦わせてもらう、君たちは力を合わせてベストを尽くしてくれれば結構だ。
Ⅴ. basement3
片桐、45歳。
警視庁公安部公安第8課の工作員。
ホームレスに変装してロカカカ栽培の拠点を視察しており、同日、定助たちより少し先に地下室に侵入していた状況であった。
血液型O型、身長はエメリヤーエンコ・ヒョードルと同じ183cmで体躯もそれに近い。
柔道、剣道、そして波紋法の使い手である。
趣味:キャンプ、スノボー。
フェイバリットアーティスト:U2。
感動した映画:インビクタス 負けざる者たち。
B3の敵の名は泥駒尹一(タダイチ)。
スタンド名は【knights of round table】。
能力はアンデッドのクローンを12体造ることで、今回はタルカスという中世の騎士を12体召喚した。
すぐさま、巨体の割に素早いタルカスの一体にロカカカ2つを奪われ、そしてそのままそのタルカスが全て食べてしまった。
しかし、どうやらアンデッドの身体に変化はないみたいだ。
身長は各々が3mを優に超える化け物集団であったが、片桐の波紋、定助のシャボン玉、そして敷並のアシストにより辛くも勝利。
泥駒は12体のタルカスとともに、削岩機で粉塵されるかのように粉々に消え去った。
Ⅵ. basement2
泥駒がヤられた。この情報はすぐさまにB2、B1の刺客にも伝わっている様子だ。そして、このような状況は岩人間にとって余興開始以来初の異常事態であった。
結論から言えば、定助たち三人は、B2、B1と脱落者を出すことなく着実に歩を進めていく。そして各階で少しずつ詳細な情報が開示されていくのであった。
敷並:次の敵は【DCAB:a=93%】 特級…か。
B2の敵の名は田最劍(ダモケン)。
スタンド名は【caliburn】。
能力は蚊サイズの飛行スタンドが、胴体先端のUSB型の突起物で対象の血管に刺し、abilityが元素タイプの要素がある場合にだけその対象の能力を盗むことができる。
さらに、これまで盗んだ属性の能力は実体化している本物の剣で独り歩きしているスタンド【caliburn】に宿すことができる、ここまでの流れが一つの能力である(剣の柄頭にもUSBポートがある)。
ただし盗む際にはシンプルに対象に叩かれるケースがあり、その場合は田最は即死するため、確実な案件でしか実行はしない。
田最:
泥駒を倒したのであれば、ある程度の情報を与えるのが礼儀だろう。
我々は三卿*⁶と呼ばれる、いわゆる岩人間という一族の中でも有力な貴族という立場になる。
三卿は、田最家、泥駒家、そして清水家があり、この間柄に序列はない。
実質この戦いに参加している私、田最劍、敗れた泥駒尹一、B1にいる清水家の者が現在の各家の筆頭三卿となる。
田最はひととおりの説明を終えると、今回は敷並の能力を警戒して、定助の能力を盗むことは諦めた様子であった。
そして火/カ・水/スイ・地/チ・空/コウ・爆/ハク・氷/ヒョウ・鉄/テツ・天/テンの4属性8系統による攻撃を魔剣【caliburn】を振るうことで繰り出す。
片桐:こいつの弱みは手数で圧倒されることだ!定助の応範囲のシャボン玉に俺の波紋を流し込んで割れなくする!
強敵であったが弱点を見抜いた片桐のひらめきによって、B2においても勝利を収めた。
粉々に散りゆく田最に対して、敷並は言う。
敷並:あんたに追いつめられたおかげで成長できたわ。確かにその8つで元素タイプは合理的に分類できる。さらに全てを統括する能力は完/カン、元素タイプ以外の属性を持たない場合は無/ブとして、わたしの【solid state scouter】もupdateする。
Ⅶ. starry sky
ついにB1、ラスボスは清水家の筆頭だ。
その名は清水香龍(カオル)、若々しい青年の姿をしている。
香龍:
僕の名前はカオル。
まさかタダイチもダモケンもやられるとは思っていなかったよ。
さっそくだけど、一緒に地上に向かおう。
B1の中にいては、僕の能力はダモケンの劣化版に過ぎないからね。
今の状況は想定外、君たちに対しては全力を出し切らせてもらう必要がでてきた。
階段を歩きながら、香龍はツーブロックの長めの前髪をなびかせて、物静かな口調で続ける。
香龍:
もともとこのスタジアムでのロカカカ栽培が始まったきっかけは、実兄の研究によるところが大きいんだよ。
兄が70年以上前*⁷から様々な土地でロカカカを植えて実験をしてきた成果だ。
しかしスタジアムのロカカカも、まだ完璧なロカカカではない。
岩人間も…そして人間も、どうしても禁断の果実を欲してしまうものなんだね。
地上に出ると、満天の星。ライブはとっくに終わり、時間は午前2時を過ぎていた。
香龍:さて、あの世に旅立つ準備はできたかい?
香龍のスタンド【red dragon】*⁸が姿を現した。
60m級の朱いドラゴンのヴィジョンをした超大型スタンド。
” DC(ν)AD:s=219% ”
敷並の分析によると、特級元素(爆系)放出亜獣型の精密動作率200%超えだ。
爆炎をまき散らしながら、片桐、定助、敷並に襲いかかる。
香龍はドラゴンの額に乗っかっているが、一般人から見たら宙に浮いているように見えるだろう。
定助が【soft & wet】で、ドラゴンの足元を渾身のラッシュ攻撃をするもまったく効いている様子がない。
そして攻撃直後に、112という数字が空中に浮かんできてすぐさま消えた。
ドラゴンの頭上をよく見ると、空中に浮かぶオレンジ色のバーがある。
そして直後、バーのメーターがほんのわずか減って、再び一瞬だけ数字が表示された。
29888だ。
これはつまり、よくあるゲームの残りライフポイント表示なのだと定助たちは悟った。
3万を削る…絶望がよぎった。
しかし、片桐が叫ぶ。
片桐:俺にも見えるぞ、あのヴィジョンと数字が!この魔剣【caliburn】は俺を本体として認めたらしい!
片桐の両手には田最の剣がしっかりと握られていた。この局面に、「魔法の剣」が降りてきたのだ!
片桐:定助はシャボン玉で俺たち三人を空中に押し上げるんだ!レイコは瞑想法*⁹で常時、定助のリカバリーを頼む!
定助:片桐さん!わかった!
敷並:了解!定助、行くよ!
香龍:…。
片桐:おまえたち三卿は、三すくみの関係なんだってやっと気づいたんだよ。おそらく、泥駒のスタンドではこの規格外の大きさのドラゴンには勝てない。でも泥駒のスタンドは、手数の多さが弱点となる田最のスタンドには勝てる。そしてこの田最が残した【caliburn】の水属性なら元素/爆系のドラゴンに勝てるはずだッ!
片桐がシャボン玉に押し上げられてドラゴンの頭上よりさらに空へ舞い上がる。
刹那、香龍と目が合った。
片桐:水、いや凍えるような氷だッ!
片桐が【caliburn】を振り下ろすと巨大な氷柱が朱色のドラゴンを真っ二つにした。
Ⅷ. sunrise/sunset
スタジアムにおける未明の戦いから、しばらくして夜が明けた。
早朝、スタジアム付近のコンビニ前で帽子を深く被った作並カレラを発見。
定助は声をかけるも奇妙なことに、カレラは定助のことを知らない様子だ。
カレラ:もしかして空条くん?変装してうまく隠れているつもりなの?!
そのままカレラは、あからさまに関わりたくない様子で去っていく。
片桐:今日起きたことは口外禁止だ。俺は東京に戻って報告書を作らないとな。また何かあった時には本部に連絡をくれよ。
敷並:気が向いたら野球の練習でも見に来てね。
敷並は定助に携帯番号のメモを渡してきた。
すると皆一応、ラインを交換してグループ名は「band of stadium(スタジアムの絆)」に決まった。
定助はフラフラとおぼつかない足取りでなんとか東方邸に着いた。康穂はなぜか電話にでない。
自分の部屋で泥のように眠った後の黄昏時―。
東方邸の敷地内に一人の人影を見つける。あのおかっぱ頭のシルエットは東方常秀だ。
定助は”ジョウシュウ?”と声をかける。
近づいてやっと、間違いなく東方常秀であることが明らかになった。
しかし東方常秀は、いぶかしげな表情で答えた。
”誰だおまえ それになんだよ、その変な名前は?!”
定助はしばらく沈黙していた。東方常秀は続ける。
”おれの名前は東方ツネヒデだ おまえ、おれの家でなにやってるんだ?!”
間もなくして日は完全に沈んだ。
episode of stadium
THE END
2024/10/25
※注釈及び考察
*1:
映画オッペンハイマーの冒頭をリスペクトした文章で、本来は「プロメテウスは神から火を盗んで人間に与え、そのために岩で鎖に繋がれ永遠の責苦を受けた」である。歯形の主であると考察するキリスト教におけるアザゼルが、ギリシャ神話のプロメテウスと同義になり得ることと、岩が呪いの象徴であることが一致するのは感慨深い。なお、本ストーリーの「パラレルカレラ説に関与する結末を暗喩」している。
*2:
常秀がミラグロマン編で「ヘタクソな連中」と評するバンド。本編との時系列的にも、ツアートラックが描かれていた時期と概ね一致する。
*3:
「ソリッド・ステート・スカウター」とはアニメドラゴンボールZにおける伝説的な名曲である。
*4:
「カーズ式コード分類法」とは、筆者がハンター×ハンターの念系統に触発されて考案したスタンド分類法である。詳細は参照を。
*5:
スゴロク方式ではなくて、あえてトーナメント風にすることで、本編では決して見られないジョジョを表現してみた。なお巨大なスタンドについても同様の趣意であり、このジョジョリオン番外編かつ最終章(コーダ)のつもりで描いた物語のラスボスに相応しい形姿であると信じる。
*6:
史実として存在する、三卿あるいは御三卿と呼ばれる江戸時代中期の徳川将軍家一門を参考としている。
*7:
70年以上前、つまり本「エピソード・オブ・スタジアム」の最大の趣旨である、本編最終話ラヂオ・ガガ事件における「透龍の描写を補完」している。
*8:
三卿のスタンドは各々、アーサー王伝説における「赤い竜」「円卓の騎士」「エクスカリバー」に準拠する。
*9:
片桐は敷並の瞑想の能力が自身の波紋法に近しい存在として認識した結果、瞑想法と呼称しており、確かにスタンド能力から「技術」が枝分かれした稀なケースといえる。
2024/10/28
※参考事項(元素タイプ種別)
【有利➡不利(少不利/微不利)】
α 水属性水系統➡火系(鉄系/爆系)
例:キャッチザレインボー(7部)
β 火属性火系統➡空系(氷系/天系)
例:マジシャンズレッド(3部)
δ 空属性空系統➡地系(爆系/鉄系)
例:ドゥービーワウ(8部)
ε 地属性地系統➡水系(天系/氷系)
例:グリーンデイ(5部)
Ζ 無属性
例:元素タイプ以外のabilityの大多数
スタープラチナ(3部)
η 空属性天系統➡鉄系(火系/地系)
例:ウェザーリポート(6部)
ι 地属性鉄系統➡氷系(空系/水系)
例:メタリカ(5部)
ν 火属性爆系統➡天系(水系/空系)
例:キラークイーン(4部)
φ 水属性氷系統➡爆系(地系/火系)
例:ホワイトアルバム(5部)
Ω 完属性/完系統
例:従たるabilityであるDISC付与を考慮した場合
ホワイトスネイク(6部)
2024/11/20
2012年3月21日ー 岩人間の王”Agamemnon”によってLOCACACA55が世界に散布された。
結果、人類の4割が絶滅、人間社会は完全に機能停止したー それから6週間後。
band of stadium
-最終章最終節-
Ⅰ. 敷並レイコ編
東京大学天文学科に進学が決まっていた敷並レイコは、港区で一人暮らしを始めていた。「散布」以降、東京都内は暴徒の出現により混乱の渦中にあった。
敷並は機能しなくなった大学には入学できず、あらゆる交通インフラが崩壊した現在、故郷である杜王町にも戻れない状況であった。
暴徒に占拠された六本木のclubを拠点に、その周辺一帯で暴徒と機動隊による激しい衝突が繰り広げられる。
敷並が住む区域まで暴徒の一団が押し寄せてきた時に、敷並は2人の男と出会い、助けられる。
男の1人は、花京院テンメイ(40歳)。
SPW財団の職員である花京院の目的は岩人間の王を倒すこと。
スタンド使いであり、亡き友人が残したDISCにより体得した時を止める能力。
スタンド名:スタープラチナ。
もう1人は、クライドと名乗る白人男性。
黒色のフードを被り、目元は常にほぼ見えない。花京院の友人で元暗殺者。
フビライ・ハンを暗殺したアサシン一族の末裔で、しかしこの数年は裏社会からその身を遠ざけている。
スタンド名:ウェザーリポート。
Ⅱ. 片桐ジュウロウ編
片桐は「散布」以降、再び杜王町に訪れていた。
杜王病院で康穂、鳩、大弥(憲助、常秀、剣はLOCACACA55により死亡)と出会い、行動を共にする。
なおキャリバーンはスタジアムでの戦い以降、片桐が手に握っても反応が無くなり扱えなくなったことから、現在は警視庁公安部に安置されている。
Ⅲ. 東方ツネヒデ編
『おれの名前は東方ツネヒデ。どうやら、おかしな世界に紛れ込んでしまったらしい。ついさっきまでは平和な杜王町で来週には仲間とハワイ旅行のはずだったのに、今は崩壊した街の中で、吉良吉影とそっくりなセーラー服を着た定助という男が隣にいる。
そもそも、こいつとは半年以上前に一度だけ出会っている。その時は勝手におれの部屋で寝ていた不審者だったから、ナットキングコールで懲らしめてやろうかと思ったら、急におれの意識は遠のいて、気づいた時には既に定助はいなくなっていた。
今思えばあの時も今と同じく、おれが異世界に紛れ込んでいたってことなのか?!』
定助は「散布」当日に並行世界に紛れ込んでおり、その難を逃れた。
並行世界でツネヒデと出会った後に、壁の目周辺に出来た空間の歪みに手をかざすと、ツネヒデと共に崩壊した杜王町にたどり着いた。
Ⅳ. 噴上ユウヤ編
杜王町にて定助、敷並、片桐の3人は再会し、9人の仲間が集結した。
さらに10人目として、噴上ユウヤなる自衛隊員が、敷並の説得により仲間に加わる。
スタンド名:TREX。
実体化した小型ドローンのスタンドで、中央にはめ込まれている赤い宝石から内部に入ることができ、十数人搭乗することが可能となっている(TREXシステム)。
噴上:
この赤石はよ~、おれの高祖父が代々引き継ぐようにって残したものらしいぜ。やっぱりカッコよくて美しいよなーっ。
三眼レンズによる情報収集の他、小型マシンガン等も搭載しており、相応の戦闘力も兼ね備えている。独立タイプであり、噴上が戦闘不能に陥っても単純な操縦のみであれば誰でも可能となる。
花京院:
ところで、スタンド使いがアクセサリを身に付けると精神力の向上が期待できるのは、皆知っていますね?私が身に付けているこのハートピアスは昔、友人にもらったものでお気に入りなのですが、気分が高揚して素早さが5%くらい上がる気がするんですよ。アクセサリの数はだいたい1人、2箇所程度が望ましいと思われます(ACCEシステム)。
片桐:
なるほど、だからスタンド使いには独特なファッションが多いのか…。
花京院:
さらに、SPW財団が保管していたスタンドDISCが現時点5枚あります。1枚は片桐さんに渡しますが、残りのDISCもできる限りSKILLの習得を目的として、皆に順次取り込んだ上で経験値を積んでもらいたいです(DISCシステム)。
では、モールでアクセサリ等を整えるとしましょう。
Ⅴ. Agamemnon編
杜王スタジアムに出現した屑鉄の塔にて、岩人間の王が残りの人類を滅ぼす準備をしている。
LOCACACA-ZEROの散布だ。
岩人間の王の目論みは、4割の人類が等価交換により即死した現時点、自分に抗う人間が何%残るのか、その真理を見定めること。
その上でより強力な通称L-0を世界中に散布し、人類を滅亡させる計画だ。
屑鉄の塔は高さ2000mほどと推定され、頂上は「散布」以来発生している霧雲に覆われて見えない。
定助等10人を乗せたTREXがぎりぎり飛行可能である、頂上まで残り300m地点で降機。
屑鉄が寄せ集められた螺旋状に構成された各階には、半身が鉄の鎧で覆われたビジュアルをしている「亡者 Type Bonham」が何百体と徘徊している。
さらに最上階の手前には「亡者 Type Bonham Aldebaran」が待ち構えていたが、これを打ち倒す。
頂上は、まるで壁の目を模倣したオブジェでフロアが構成されていた。
一行は、岩人間の王”Agamemnon”と対峙する。
その姿は黒色長髪に無精ひげ、面長でどこか超然とした眼差しをしている長身の男だ。
“Agamemnon”のスタンド
【Nine Worthies(九偉人)】
第一形態は、9つの白黒ツートンのこぶし大の玉が“Agamemnon”の周りを衛星のように周回している。各々が8種の元素と無属性のもので構成されており、触れることで攻撃が発動する。
第二形態は、“Agamemnon”自身が身に纏い変身する、シャチのような模様と体表をしたコディアックヒグマのような体躯をもつ実体化したstyle(一見、まるで某アメコミのダークヒーローのようだ)。
この第二形態時は、9つのサイクルが等間隔で巡っており、唯一該当する巡回してきた弱点属性でない限りリフレクターが発動しダメージを受けない。つまり時間を止めたとしても、無属性弱点のサイクルでないとダメージを与えられないばかりか、リフレクターで致命的な反射攻撃を受けてしまう。
” Unknown”
敷並:
測定不能、しいて言うなら究極元素(完系/無属)近接群像/変身型かッ…!
花京院:
弱点属性の法則は解けた…サイクルの順番はギリシャ文字をアルファベットに対応させたものだッ!
賭けてみるしかない!
花京院、敷並、定助等による連携で“Agamemnon”に立ち向かう。
【Nine Worthies】の能力に圧倒されるも、花京院を亡くすという犠牲を伴い、ついに岩人間の王を滅ぼす寸前まで追い詰める。
しかし”Agamemnon”の体が紫色に光りだし、不穏な空気が屑鉄の塔を包み込んだ。
そしてクライドが語る。
『やつは3000年以上生きているトロイア戦争の英雄“Agamemnon”、つまり本物の「アガメムノン」だ。
私の真の名は、「エンポリオ・アルニーニョ」。
我が一族は1000年の間、やつに対抗してきた』
クライドことエンポリオがフードを脱ぐとブロンドの長髪、頬はややこけている。
定助は言う、この場面…見たことがある、と。
さらにエンポリオは張り詰めた声で言った。
『「ナイン・ワージーズ」の9つの要素のうち、爆の能力に付随する「バイツァ・ダスト」は観測史上、1890年から解除されていない。
敢えて発動させれば、やつは再び生き永らえるが、代わりに4割の人類、そして花京院さんにも生きるチャンスができる…選択するのは君たちだ』
屑鉄の塔が崩壊していくー 爆風が巻き起こる。
1人のネイティブアメリカンが、土煙を巻き上げて赤い大地を走り抜けていく。
1890年、偉大なるレースが開催される。
band of stadium
-最終章最終節-
原作 salad
脚本 salad
監督 salad
製作総指揮 salad
客船の甲板で新婚の男女が語り合う。
”エリナ、アメリカが見えてきたよ”
”ええ、ジョナサン。ちょうど今、北米大陸横断レースが行われているみたいですね”
”ああ、ぼくもそれ気になっていたんだ。もしかしたら、ニューヨークでゴールが観れるかもしれないね”
二人の笑顔が未来を明るく照らしている。
THE END
2024/11/30
編集後記:
本作のプロットはRPG「FF6」に多大なる影響を受けている。クライドはシャドウの本名であるし、屑鉄の塔は瓦礫の塔だ。私的に史上最高の物語の一つである同作に対し、あらためてリスペクトしたい(さらに名作「R.SaGa2」も)。
エンポリオが記憶の男の正体なのか、そして6部のエンポリオとは如何なる関係であるのか。その答えは永久に謎なのかもしれない。
スタジアム二部作は、ジョジョリオンの番外編を仮に作るとしたら「どのようなアプローチになり得るか」という実験的な試みとして、そのプロットのみを書き出してきたが未だ完成ではない。
ジョジョリオンはその謎ゆえに発展の余地は無限大であると信じ、更新を継続したい。
2024/12/1
更新履歴:version1.2 2024/11/03
version1.3 2024/11/05
version1.4 2024/11/20
version2.0 2024/11/27
version2.1 2024/11/30
version2.2 2024/12/01
version2.3 2024/12/06
version2.4 2024/12/07
version2.5 2024/12/12
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