- SBRが如何に、何故に最高傑作なのか
- SBRの超えた1点、そしてマキシムを語る
- 1890年9月25日サンディエゴビーチ【第1巻】
- 1st.STAGE 15,000メートル【第2巻】
- 2nd.STAGE アリゾナ砂漠越え【第3巻】
- ジャイロ・ツェペリの宿命【第4巻】
- 大統領の陰謀【第5巻】
- スケアリーモンスターズ【第6巻】
- 広い広い大草原の小さな墓標【第7巻】
- 男の世界へ【第8巻】
- 嵐の夜がやってくる【第9巻】
- イリノイ・スカイライン ミシガン・レイクライン【第10巻】
- 黄金長方形をつくれ!【第11巻】
- 遺体への条件 友情への条件【第12巻】
- 壊れゆく鉄球【第13巻】
- 勝利者への資格【第14巻】
- ゲティスバーグの夢【第15巻】
- いともたやすく行われる えげつない行為【第16巻】
- D4C【第17巻】
- 涙の乗車券【第18巻】
- お金持ちにはなれない【第19巻】
- ラブトレイン-世界はひとつ【第20巻】
- ボール・ブレイカー【第21巻】
- ブレイク・マイ・ハート ブレイク・ユア・ハート【第22巻】
- ハイ・ヴォルテージ【第23巻】
- 星条旗よ 永遠なれ【第24巻】
- OUTRO
SBRが如何に、何故に最高傑作なのか
本論考では、アニメ化されるかどうか期待されるジョジョの奇妙な冒険第7部SBR(スティールボールラン)の評価について討究していく。
ジョジョの奇妙な冒険とは―「第1部から第7部4巻まで」を1987年から2004年の間に週刊少年ジャンプで、「第7部5巻から第9部(連載中)」を20年前の2005年から2025年現在まで月刊ウルトラジャンプで連載している。
その永いジョジョ史の中で、現時点(異論はあると思うが)、どうやら「SBRが最高傑作」の一つとされるいわゆるネットの風評をジョジョ文化の一環として俯瞰するに、とても鋭く的を得ている気がするし、こういった討論はすごく有意義と感じる。
筆者もジョジョの好きな部ランキングを、僭越ながら述べると
第1位
第7部スティールボールラン(101点)
同率2位
9部ジョジョランズ(暫定98点)
= 5部黄金の風(98点)
略同率4位
4部ダイヤモンドは砕けない(94.5点)
≧ 3部スターダストクルセイダース(94点)
略同率6位
2部戦闘潮流(90点)
≧ 1部ファントムブラッド(89.5点)
略同率8位
8部ジョジョリオン(85.5点)
≧ 6部ストーンオーシャン(85点)
となり、やはりSBRがオールタイムベストとなる(後述となるが、今回の考察に伴いSBRを再熟読した結果である)。
とはいえ上記のとおり、どの部も僅差であるし、略(ほぼ)同率8位の二作品も85点以上をキープする。ジョジョとは正に怪物作品なのだ。
第1部ファントムブラッドはぎりぎり90点に足りていないが、その出発点があってこそのジョジョサーガである。
いわずもがな第2部戦闘潮流からは少なくとも第5部黄金の風まで、全くの手放しで多くの人に推薦したい。
ここまで右肩上がりのシリーズは娯楽大作ワイルドスピード以外に知らないし、ジョジョは偶然の大河としても世界初のオリジンであると個人的に考える。
真打、第7部。その内容はまるで1、2、3部(あるいは4、5、6部までも)を統括する。
そして最初に結論を述べると、SBRは当時40代という作者荒木氏の人生哲学を盛り込んだ名言(いや、これはもう「格言=マキシム」だ)の多さ故の「名作」といえるだろう。
本論考を通じ、SBRのジョジョ史におけるマスターピースたる所以を提示していきたい。なお、本編ネタバレを含むことから十分に留意していただきたい。
SBRの超えた1点、そしてマキシムを語る
ところでよく奇数部VS偶数部という論争があるが、そう考えると前記の順位も、意外と突拍子のないランキングではないと我ながら勝手に思うところがある。
7>9=5>4≧3>2≧1>8≧6
何といっても3位までを奇数部が独占し、さらに偶数部の雄である2部はあくまで1部と接戦、同じくもう一つの雄4部は3部とやはり僅差という状況なのだ(筆者は奇数派)。
そう考えると、奇数部である最新作第9部ジョジョランズに対する期待は大きい。最終部であるとのジョジョ都市伝説を踏まえると、必然とその盛り上がりは増していく。ジョジョランズはこれまでの荒木哲学・荒木絵画の集大成であり、本当に面白いので是非ご一読願いたい。
話は戻って、「SBRは101点」。
その超えた1点は「2nd.STAGE」によるところが多い。そしてそれは完結当初の個人的な感想「SBRは惜しくも99点」に関わっており、その理由も同じく「2nd.STAGE」なのだ。
ジョニィ曰く「あと1パーセント信じたい」。私は「あと1点、それ以上に感銘を受けた」…本ストーリーにおける【マキシム】を追っていくことで、その旨を以下のとおり公言したい。
引用元:漫画「ジョジョの奇妙な冒険第7部SBR カラー版7巻」
1890年9月25日サンディエゴビーチ【第1巻】
01.敵から身を守るには 敵の文化を良く知らなくちゃあならないって考え方だってあるんだ
02.真の失敗とは 開拓の心を忘れ 困難に挑戦する事に無縁のところにいる者たちの事をいうのだ
03.このビーチには美しいものが確かに存在していた 暗闇の中に見える美しいもの ぼくは何かにひきつけられてこのビーチに来た
04.その馬の選択は正しい 老いた馬には経験がある
1st.STAGE 15,000メートル【第2巻】
1st.STAGE 15km 短距離戦
05.だがクセなんて直さなくていい もっとクセを出して走れ
2nd.STAGE アリゾナ砂漠越え【第3巻】
2nd.STAGE アリゾナ砂漠越え モニュメントバレー 1200km 砂漠地帯
06.ついてくるか?ルートは最短をとるぜ
ジャイロ・ツェペリの宿命【第4巻】
07.男には地図が必要だ 荒野を渡り切る心の中の地図がな
08.だがオレは納得したいだけだ 有罪か無罪か 納得は必要だ 納得は誇りなんだ
大統領の陰謀【第5巻】
09.感傷とは心のスキ間であり弱さ
10.聖人とは死んだ後に奇跡を起こす人物のことを指す
スケアリーモンスターズ【第6巻】
3rd.STAGE ロッキー・マウンテン・ブレイク・ダウン 510km 山岳地帯
11.どいつもこいつも有罪だ くそ田舎者どもッ オレは必ず社会の頂点に立ってみせる!
広い広い大草原の小さな墓標【第7巻】
4th.STAGE 広い広い大草原の小さな墓標 1250km 草原地帯
12.尊敬は繁栄だ
13.君は受け継いだ人間だ 飢えなきゃ勝てない
14.敗北したのはトラブルが原因ではなく その背後にあるもののせい
男の世界へ【第8巻】
15.いざという時 オレを殺しにかかる漆黒の意志が心の中にある
16.正当なる防衛ではオレを殺す事は決してできない 受け身の対応者はここでは必要なし
17.公正なる果し合いは自分自身を人間的に生長させてくれる
18.オレは納得したいだけだ 納得は全てに優先するぜ
19.真の勝利への道には男の価値が必要だ それを確認しろ 光輝く道を
20.ようこそ…男の世界へ…
嵐の夜がやってくる【第9巻】
21.帰る所が欲しかっただけさ 旅に出たら帰る場所がな
22.オレたちだけの気持ちのいい道だ 光の中へ
23.それの投球にどれほどの意味があるッ!無駄だぞ!!無駄ァァァァッ
24.おまえの行為は蛇にそそのかされたイヴのごとき愚かなる過ち
イリノイ・スカイライン ミシガン・レイクライン【第10巻】
5th.&6th.STAGE イリノイ・スカイライン ミシガン・レイクライン 780&690km 雪原地帯
25.ブラックローズの足元を白いネズミが横切った
26.少しずつ少しずつ宿命がぼくを気づかないうちにとり囲んで 今は白ネズミの時と同じ感覚なんだ
黄金長方形をつくれ!【第11巻】
27.おまえはこれから できるわけがない というセリフを4回だけ言っていい
28.学者から聞いたり定規で計ったわけじゃあないはずだ それはコピーってやつで本物じゃあない
遺体への条件 友情への条件【第12巻】
29.挑めば奇跡が起こるかもしれない だが我々にその危険を冒す権利はない
30.ネットギリギリにひっかかってはじかれたボールはその後ネットのどちら側に落下するのか誰にもわからない そこからは神の領域だ
31.全てを敢えて差し出した者が 最後には真の全てを得る あの2人はその資格を得た
32.ネットにひっかかってはじかれたボールに乾杯は?
壊れゆく鉄球【第13巻】
33.敬意を払え そうすれば我らに敗北はない
勝利者への資格【第14巻】
7th.STAGE フィラデルフィア・トライアングル 1300km 夜戦
34.命を救えるならその事だけに感謝すべきだ よけいな領域には踏み込むな
35.この社会と人の心の中のありようには限界点がある 立ち入ってはならない
36.だが 奇跡の存在も信じている 奇跡が起こる事を祈ろう ボールがネットの向こう側に落ちることを
37.雪が降ったのはなるべくしてなった奇跡なんだよ 偶然じゃあない
38.ここまでの旅 いったい何本の河をぼくらは渡ってきたのだろう そしてあといくつの河を渡るのだろう
39.コールタールみたいにまっ黒でドロドロで同じ量の砂糖を入れて飲む これをダブルで飲むといままでの疲れが全部吹っ飛んで驚くほどの元気が体の芯からわいてくる まさに大地の恵みだ
40.地形と天候を読み自分と馬の肉体と精神のエネルギーを温存しながら進む旅だ 温存しない者は負ける
41.他の競争相手も一斉にゴールに向かって集結してくるッ!
ゲティスバーグの夢【第15巻】
42.人は何かを捨てて前へ進む
43.今ならまだ清められる 心が折れてしまう前に
44.全てに追いつめられた時 その暗黒面は冷徹に人を殺せるという表情だ 全てを捨てる気だ その人間性までも
45.迷ったら撃つな…だ だがもう迷いはない
いともたやすく行われる えげつない行為【第16巻】
8th.STAGE ボース・サイド・ナウ 140km 大統領戦
46.正解は最初に取った者に従う…だ 誰かが最初に右のナプキンを取ったら全員が右を取らざるを得ない そしてナプキンを取れる者とは万人から尊敬されていなくてはならない
D4C【第17巻】
47.物事は円 回転したならば
涙の乗車券【第18巻】
48.オレの居場所はこの地球上で無くなった 一度も会ったこともないただのちっぽけな女の子のためにこの国を敵に回してしまった だがま…それもいいか これでオレの気分もけっこう…清らかだ
49.生きるとか死ぬとか 誰が正義で誰が悪だなんてどうでもいいッ!!ぼくはまだマイナスなんだッ!ゼロに向かって行きたいッ!
お金持ちにはなれない【第19巻】
50.男が女にひかれる基準だが 吉であるかどうかだ
51.切り裂いた首のその傷はッ!オレがいた人間世界の悲惨の線だ…WRYYYYYYYーッ そしてこれがッ!それを越えた線ッ!このオレがッ!!手に入れるこの世界への線だッ!!
52.なあ…お互い秘密を言い合おうぜ
ラブトレイン-世界はひとつ【第20巻】
53.あいつが正義で ぼくらの方が邪悪なものなんだ
54.絶望が心の中の全てを襲ったよ だが今まではだ
55.もはや崇拝しかない この場所に神殿を建てよう
ボール・ブレイカー【第21巻】
56.もし重力という引っ張る力がなければ 肉体が次元間を移動した時 その人間としての形や心の力のつながりが保つ事が出来なくなって バラバラに崩壊していろんな次元に飛び散ってしまうからである
57.一番の近道は遠回りだった 遠回りこそが俺の最短の道だった
58.オレの鞍の上にはすでに勝利の女神が乗っている
59.結局のところ ネットにはじかれたテニスボールはどっち側に落ちるのか誰にもわからない そんな時こそ居てほしいのが女神だ そうすりゃあボールがどっち側へ落ちたとしても 納得がいくからな
ブレイク・マイ・ハート ブレイク・ユア・ハート【第22巻】
60.新しい時代の幕開けの時には必ず立ち向かわなくてはならない試練がある 試練には必ず戦いがあり流される血がある 試練は強敵であるほど良い 試練は供えものだ りっぱであるほど良い
61.愛国心はこの世でもっとも美しい徳だ
62.戦争ではなくSBRレースであったからこそ犠牲者は最小で済んだのだ
63.あんたの方が正しい道なのかもしれない 少なくともここにいる僕よりは 人として正しい道を歩いている
ハイ・ヴォルテージ【第23巻】
THE Final STAGE マンハッタン・ラプソディー 13km 市街地戦
64.だがあと1%信じたい
65.我が心と行動に一点の曇りなし 全てが正義だ
66.本当に 本当に なんて遠い回り道
67.本当に 本当に ありがとう それしか言う言葉がみつからない
星条旗よ 永遠なれ【第24巻】
68.この馬による大陸横断レースは祈りの旅でもあった
69.今ー最後の河を渡り切ったー
70.祈っておこうかな 航海の無事を 家に…帰ろう
OUTRO
引用元:漫画「ジョジョの奇妙な冒険第7部SBR カラー版10巻」
70個もの格言を網羅してきたが、例えば57番は6番のアンサーであったり、あるいは「ネットにはじかれたボール」にいたっては数回に渡り言及されている。こうやってSBRにおける【マキシム】を並べてみると繋がりや新しい発見が得られるのだろう。
SBRの評価について、もしかすると3巻から5巻で描かれる「2nd.STAGE」に苦言を呈する方もいるかもしれない。これまでは筆者もその一人で、わずかな不満として99点という評価。足りない1点、SBRで乗り越えなければならない踏み絵であった。
「2nd.STAGE」とは悪魔の手のひらが舞台となる重要なチャプターではあるも、ミセスロビンソン➡ブンブーン一家➡オエコモバ➡ポークパイハットという「道化師」と「フリークス」が交互に襲ってくる展開にやや食傷気味になってしまう(特にブンブーン一家である)。
しかし「2nd.STAGE」の功罪たる所以―それは今回のSBR再熟読によって、大統領が語る60番の生贄の話で「納得」がいった。
ブンブーン一家等(マウンテン・ティム、サンドマン、ヴァレンタイン夫人、ウェカピポ、そしてディオまでも)皆「生贄」であったのだ。遺体集めにおいて、必要不可欠なピースの一つなのだ。
ちょうど週刊から月刊に移行するタイミングのストーリーなのだが、この不安定な時期にエネルギーを「温存」して読み進む。
すると暗闇の中に光が差し込むではないか。まさにスティールボールラン・レースのように。
そう考えると、ジャイロ曰く「キモイねえ」なブンブーン一家も皆愛おしいキャラクターであるし、本当に本当に、味わい深い物語だと思い巡らすと同時に、満点を超えた。
SBR、101点。
以上が今回の考察における結論となる。
珠玉の【マキシム】たち…それはSBRが至高の作品であることの証明なのだ。
2025/4/1
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➡JOJOLION 【THE ANSWER】:KARERA EFFECT
*過去主義と未来主義についての考察
*未来主義に特化した解釈
*実践的な討究と結論